今週の特集
ボカロ文化を広げたい —
使命感で動いていたら、自分の世界も広がっていた罠。

ちょむP
Dios/シグナルP
ちょむP
千葉在住のサウンドクリエイター。別名TakeponG(たけぽん)。ボカロ曲に関してはちょむP名義。
2007年10月、自身初のボカロオリジナル曲『教えて!!魔法のLyric』をニコニコ動画に投稿。
音系同人サークル「ちょむ工房」の代表であり、ボカロ曲の先駆者。当番組のクリエイター集団カルノーザの一員でもある。
(イラスト:TOBI)


ニコニコ動画(ボカロ曲):
http://www.nicovideo.jp/mylist/2502660
ニコニコ動画(非ボカロ曲):
http://www.nicovideo.jp/mylist/9580832
オフィシャルサイト「ちょむ工房」:
http://www.chomkoubou.com

Twitter:http://twitter.com/chom


ーちょむさん、今回はよろしくお願いします!
こちらこそよろしくお願いします。

ーさっそくですが、ボカロ曲を作るきっかけは何でしたか?
日頃からゲーム曲のアレンジなんかを趣味でやっていたので、音楽機材にも興味があって、 『MEIKO』も予約して買っていたぐらいなんですが、その時は、曲を作るとかではなく、いじってみる程度に終わっていたんです。
その後しばらくして、人間の声でオリジナル曲のアルバム を一枚作ったんですが、その頃に初音ミクが発売されました。
当初投稿されていたのは、カバー曲が中心だったのですが、オリジナル曲の『みくみくにしてあげる』の大ヒットに衝撃を受けて「やってやるぞ!」と『教えて!!魔法のLyric』を作りました。

ー『おしリリ』は、どういう想いを込めて作ったんですか?
その頃は、ミクの自己紹介ソングと言うか、ミクが『もっと私に歌わせて』って言っているような歌詞が流行っていて、この曲もDTM初心者に向けて“もっとボカロ曲を作ろうよ”っていう歌です。
だから、誰にでも出来る、身近なものなんだって感じてほしくて、伴奏はほぼフリーソフトで作りました。
最初は、なんだか「(ボーカロイドソフトを)みんなに使ってもらわなきゃ!」っていう使命感みたいなものがあって、「どうすれば、もっとうまくなるのかな?」って研究して、ちょむ工房のHPで「調教メモ」のページを作ったりしました。
コラボとかもしたかったんですよね。当時はあんまりなかったですから。

ー今では色々な方とコラボされてますよね。コラボする人って、どこで見つけてくるんですか?
同人関係で元々知り合いだった友達や、ニコ動つながりで知り合った人ですね。
私は、人が揃ってからではなく、やりたいことが先にあって、イメージが出来てから声をかけることが多いです。
作風にぐっときたら面識がなくても誘っちゃいます。最初のメールを送るのには、結構勇気が要るんですけどね。

ー『おしリリ』は「踊ってみた」でもよく使われていますよね。
はい。Yumiko先生が振り付けをされて…。最初はわけがわかりませんでした。
自分が知らないところで自分の曲を使った動画がすごい人気になっていましたから。
しかも、Yumiko先生の動画の方が再生数が多くてちょっと悔しかったですね(笑)。
でも、相乗効果で私の動画も見てもらえるようになって嬉しかったです。
のりさんがYumiko先生のダンスをトレースされて、MMDの『おしリリ』も作られるようにもなったりして、今ではタグで検索すると817作品も出てきますからね。

ー『ボカレボ☆Dance Night』でも、しゅうりん・ぬっこ・瑠衣が『おしリリ』を踊ってくれましたが、どうでしたか?
やっぱり、他の曲よりもテンション上がりますよね。
でも、大会議とかでもそうなんですけど、一方で、なんだか遠い所に行ってしまったようで自分の曲じゃないみたいな「よく知ってる曲が流れてるな」って客観的な感覚にもなります。

ー好きなボーカロイドは誰ですか?
『鏡音リン』です。声がかわいいですよね。パワーもありますし、低めに鳴らすと落ち込んでいる感じになったり、喜怒哀楽が出しやすいんです。

ー曲を作る時に大切にしていることは何ですか?
“キャッチーさ”ですね。インパクト勝負なので、聴いてスグ覚えられるように作っています。
『パンツ脱げるもん』は、そのやり過ぎた例です(笑)。あの曲は、大人と子供の間というニュートラルな立場である思春期の人たちに“うまく立ち回っていけばいいじゃない”っていうメッセージを込めて作ったんですが…。
あとは、“聴きやすくすること”に気をつけています。

ー自分が作曲した中で一番好きな曲はどれですか?
ニコ動に上げている曲の中で言うなら『Rejoyce』ですね。
Orangeさんの詞に後から曲を付けたのですが、曲調が狙い通りに出来ました。リンの声にも合っていると思いますし。

ー苦労した曲はどれですか?
作業的に言えば『オトナノヘンナノ』が一番苦労しましたね。あれは無茶でした(笑)。
『月読アイ』はAHSから出ている入力文字読み上げソフトなのですが、ボーカロイドで作る時の倍くらいはかかりました。

ー『オトナノヘンナノ』を作ろうと思ったきっかけは何だったんですか?
やよいロイドなど、他の人力ボカロの曲を聴いて衝撃を受けたのですが、その時は別に自分も作ってみようとは思ってなくて。
でも、「東京都青少年の健全な育成に関する条例」や「非実在青少年」が話題になっていて、それに反発する気持ちを子供の視点から描きたくなってアイちゃんを使わせていただきました。
子供って知りたがるものじゃないですか。
その好奇心を大人が取り上げちゃっていいのかなっていう想いがあって。まぁ、曲の解釈は聴く人に任せたいですけどね。

ー動画についたコメントで嬉しかったものはありますか?
曲に込めた思いと言うか、意図を読み取ってくれたようなコメントは嬉しいですね。

ー具体的には?
『パンツ脱げるもん』についた「パンツは抑圧の象徴だな」っていうコメントとか。

ーボカロ曲を作るようになって変わったことってありますか?
相当変わりました。まず、ボカロPをはじめ友達が増えましたね。
あと、依頼の種類が増えましたし、質も変わったと思います。それまでは、自費出版のCDを売るか、ゲーム曲を作るかしかなかったのが、今では、KarenTでiTunes配信もできるようになりましたし、こうやって取材を受けたりもするようになりました。
Yumiko先生のファンによるYumikoミュのダンスイベントのPA(音響)もやらせてもらったりしています。

ー曲作りはどんな環境でやっているんですか?
作業は自分の部屋ですが、気になったらいつでもツイッターをメモ代わりに呟いています。
ネタ帳は、また別にあって思いついたことをまとめています。
自分に起きた出来事から想像を膨らませてボカロキャラクターのストーリーにしていく感じです。

ーちょむさんにはカルノーザで制作した『キミ、ボク、距離感』で作曲を担当していただきましたが、いかがでしたか?
ボカロ曲ではないのですが、「ワンダースペル」という私自身もお気に入りの曲がありまして、その曲を気に入って頂いた上での依頼だったので嬉しかったです。作曲はあまり悩まずストレートにできました

ーPVの撮影現場にもお越しいただきましたが、どうでしたか?
秋元さんを見て、“本物のアイドルはかわいいなぁ”と思いました(笑)。
動画を担当されたわかむらPは、前からファンだったので、一緒にやれて嬉しかったです。
頭の中で必要な素材が組みあがっているみたいでテンポよく撮影されていて、すごいと思いました。
今回、私は作曲を担当しただけだったのですが、次回は歌のMIXなど全てを仕切ってやってみたいですね。

ー現在は何か制作中ですか?
常に曲は考えていますし、動画も製作していただいているところです。
私は、イベントに合わせてCDに収録する曲を作るので、動画はその後に依頼するんです。
イベント前に動画も作るとなると慌ただしくなってしまいますから。動画製作は時間のかかるものなので、期間は決めずに、完成したらUPする、という感じです。

ーこれからどんな活動をしたいですか?
ボカロ文化は知らない間に広がっていて、私もいつの間にかこんなに依頼を受けるようになって、これからも広がっていくと思います。そんなボカロ文化の盛り上がりに貢献できたらうれしいです。
ボカロ文化が一般の人にもっと溶け込んで、一個人が営利目的ではなく趣味で作っている曲が、こんなに素晴らしいんだってことをもっと多くの方に知ってほしいです。
そのためにも、もっと積極的に動画をUPして活動の幅を広げたいですね。

取材:斉藤 恵

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